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社会保険労務士目黒国際事務所

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更新情報

2023年7月17日

労働時間・休日に関する主な制度について

《法定の労働時間、休憩、休日》

 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働者を労働させてはいけません。また、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならないとされています。

 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。なお、4週間を通じて4日以上ですので、理屈上は最初の1週間に4日の休日を与え、残りの日数は労働させるということも可能ですが、その場合には、休日労働の割増賃金が発生します。

《時間外労働協定(36協定)》

 労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられており、協定を結んだからといって何時間でも時間外労働をさせることができるというわけではありません。この協定に関しては、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。

《変形労働時間制》

 変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。「変形労働時間制」には、(1)1ヶ月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位のものがあります。

《フレックスタイム制》

 フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労使協定により、一定期間(1ヶ月以内)を平均し1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業・終業時刻・労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度です。

《みなし労働時間制》

 みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」、「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」があります。

 事業場外みなし労働時間制は、事業場外で労働する場合で労働時間の算定が困難な場合に、原則として所定労働時間労働したものとみなす制度です。

 専門業務型裁量労働制は、デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

 企画業務型裁量労働制は、事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

2023年7月9日

【コラム】退職予定者からの有給休暇申請

  

 退職予定者であっても、付与された有給休暇すべてを消化する権利があり、退職予定者からの有給休暇申請があれば、これに応じなければなりません。

 また、退職予定者の場合には、有給の時期変更権も退職予定日を超えて行使することができません。

 なお、退職時の有給の買取については、労働者と使用者の双方の合意があれば可能ですので、そのような対応も考えられます。

2023年7月9日

【コラム】インターンシップにおける給与の支払

 インターンシップが、学生に就労体験・職場体験の場を提供するものである場合には、原則として、給料を支払う必要はないと考えられます。

 もっとも、インターンシップに参加する学生が労働法上の「労働者」に該当すると言える場合には、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令が適用され、給与を支払う必要があるため、留意が必要です。

 どのような場合に、「労働者」と言えるのかについては、個々のケースの実態を見て判断されますが、行政通達では「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に指揮従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ」るものとされています(平成9年9月18日基発636号)。

2023年7月6日

【コラム】「振替休日」と「代休」の違い

 休日労働があったとき、代わりに従業員に休みを与える方法として、振替休日と代休があります。

 振替休日と代休は、労働日と休日を入れ替える点においては同じです。違うのは、入れ替えるのが「事前」か「事後」かという点です。

 振替休日は事前に日を指定して休日と労働日を入れ替えるのに対し、代休は休日労働があった後に代わりの休日を与えます。この違いは、従業員の給与計算に影響してきます。

 「振替休日」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、その代わりとして振り替えられた日が「休日」となります。

 事前に労働日と休日を入れ替えているため、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金(35%以上)の支払義務も発生しません。

 一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われたあとに、その代償として、以後の特定の労働日を休みとするものです。前もって休日を振り替えたことにはならないため、会社は従業員に休日労働分の割増賃金(35%以上)を支払う必要があります。

 ただし、振替休日であっても、同一週内に取得しないと割増賃金の支払が発生する場合があるため、注意が必要です。たとえば、1週目の月曜日から金曜日に通常どおり出勤してから土曜日に休日出勤し、2週目の月曜日に振替休日を取得した場合、1週目の労働時間が48時間となり、法定労働時間の40時間を超えます。よって、1週目の土曜日に支払う賃金は、時間外労働の割増賃金(25%以上)となります。

 なお、振替休日を導入するときは就業規則への記載が必要です。何の規定もないまま、「振替休日にして休日出勤してほしい」といっても、それを強制することはできません。